「言わないでっ!」
昨日、出張で訪れたとある市役所で。
マイナポイントの手続きをしていたようなんですね。
そのポイントの受け取りかなにかの手続きのようで、市役所のロビーで担当の中年女性が対応をしていました。
お客さんは、ご高齢の女性です。
担当の女性
「はい、じゃ、ここにパスワードを入れてくださいね。」
高齢の女性
「はい、え~と、いーち…」
担当の女性、間髪入れずに真顔で、
「言わないでっ!」
担当の方、慣れてますね~。
「言わないでっ!」のタイミングが芸人さんなみに絶妙でした。
パスワードを打つとき、口に出しちゃうのは、すごくよくわかります。
私も、レストランでやりかけました。(笑)
ある程度の年齢、どうかすると50歳代ぐらいから?(笑)、思ったことが口に出やすくなる傾向があるかもしれません。(なんの根拠もありません。(笑))
普段から、特に人と接することが少なくなりますと、独り言が増えますね。
気が付けば、誰も聞いていないのに、
「トイレ行ってこよう。」
とか、
「さ~て、今日は、なに食べようかな~。」
なんて口走っているのは日常茶飯事で、
インターネットのニュース相手に、
「あのね~、そんなことしちゃ~だめでしょ~」
なんてしゃべってる。
そう、年齢もある程度はあるかもと思うのですが、新型コロナ感染症対策で人と積極的に話さなくなったり、一人でいることが多くなったりしたことも、影響しているのでしょうねぇ。
それにしても、この担当者の方の「言わないで!」のタイミング、よほど口でパスワードを言う人が多いんだろうな~、なんて思ったんです。
これは、要注意ですね。
歩きながら独り言とか、ありますからね、気を付けましょうということなんでしょうねぇ。
言葉。
さて、この「言わないでっ!」に限らず、言葉には、同じ意味を含むいろんな単語がありますけれども、そのどれを選んでいくかって、スムーズなコミュニケーションにはとても大事なんです、なんてお話を…。
例えばこの「言わないでっ!」には、担当者の驚きと止めなければ、という想いが入っています。パスワードを口にしてしまうことで、他の誰かが聞いていて、あとでこのご高齢の女性に話しかけたりするとまずい、ということがありますので、しっかりと伝える必要がありますね。
こんなときには、厳しめに言いがちになってしまいます。
ですが、この言葉でこの高齢の女性はびっくりして、恐縮していたんです。
悪気がなかったわけですけれども、怒られてしまった。
この方の心はちょっと悲しくなったりします。
(怒られちゃった)
って、気にしていないようでいて、ちょっとつらい気持ちになるかもしれません。
できれば、この方にも気持ちよくお帰りいただきたい。
この「言わないでっ!」を別の言葉にできないか、私はこんなシーンを目にしたときに、いつも思うんです。
この担当者の方も、悪気があるわけではないと思うんですね。
いつもこんな感じなんだと思うんです。
まじめにお仕事をしているんです。
ですが、ちょっと言葉を変えると、この高齢者の方は恐縮するのではなく、笑顔で帰れるんですね。
例えば、
「ちょっと待ってください!」
といいながら、「シ~!」でもいいです。
そのときは、真顔ではなく、笑顔です。
(真顔って結構怖いんです。)
そこで、この高齢の女性の心は恐縮することなく、ハッ!と気づくことができます。
「あらやだ、あたしったら、はっはっは~!」
なんて一緒に笑って、
「それじゃ!ありがと~!」
なんていい気分で帰れるんです。
もし、「シ~!」で気づかなかったら、次の段階で、
「口に出さないで書いてくださいね~、周りに聞こえちゃうと危ないですからね~。」
と、ゆっくり言えばいいんですね。
先日、身近な人にはつい厳しい言葉、態度で接してしまうものなんです、なんてお話を書いたのですが、自分よりも弱いと思われる立場の人にも、つい同じような態度で接してしまうことがあります。
ことさら、へりくだる必要はないんです。
自分が相手だったらどう感じるだろう。
そう、一瞬考えて、ただ、丁寧に、親切に話すだけです。
自分と接する人が心地よくなっていただけるように、その心は、“思いやり”なんですね。
そして、その“思いやり”は、“愛”なのです。
誰かにとって、心地よい人になる。
もちろん、自分にとっても、です。
一瞬一瞬が気づきで、そして、学びなんですね。
丁寧に、丁寧に。
ついバタバタとしてしまいがちな忙しい毎日を、そんなふうに過ごしてみると、良いことが起きてきます。そして、そんな日々が普通になります。
これを“良い循環が起きる”なんて言います。
これが自分心のスタンダードになると、とっても生きやすくなってきますよ。
今日も幸せです。
すべてに感謝します。
スピリチュアリティカウンセラー・癒しびと
林 真弓子